急性腰痛症は都合の良い言葉
- 山の上の院長
- 8月8日
- 読了時間: 5分

皆さんは「急性腰痛」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?急性腰痛とは読んで字のごとく「急に起こる腰痛」で、ぎっくり腰などがそれに当たります。実はこの急性腰痛はハッキリとした原因がわからないことが多く、特に痛みに対しての治療や施術がほとんどになっています。この急性腰痛、私はとても都合の良い言葉だなぁという認識があり、なぜそう感じるのかをお話しして行きたいと思います。
ぎっくり腰は種類が存在する!
このぎっくり腰を経験したことがある方は、その耐え難い痛みに数日間から数週間悩まされる悪夢のような時間だというニュアンスがよくお分かりいただけるかと思います。このぎっくり腰で病院へ通ったことがある人は「急性腰痛」とか「急性腰痛症」と言われたという経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。確かに、原因もハッキリせずに急に起こる腰痛ですので急性腰痛という言葉もわからなくはありませんが、見出しにもある通り「ぎっくり腰には種類が存在する」という事実を知っている先生であれば、どんなぎっくり腰でも急性腰痛と一括りにしてしまうことに違和感を感じないのかなぁと少し不思議に感じてしまいます。
種類が様々なら治療法や施術法もひとつではない!
ぎっくり腰の治療法の代表的な方法といえばどんなものを思い浮かべますか?例えば病院であれば「湿布と痛み止めの処方」、治療院や施術所であれば腰部や臀部、下肢(お尻から下)に対する治療や施術ということが一般的になるのではないでしょうか。ただしかし、ここで少し考えていただきたいのですが、例えば手の指の痛みを例にして考えてみてもらいたいのですが、指をぶつけて痛みが起こりました、突き指をしました、指を切ってしまいましたなど、指の痛みも様々です。それに対してひとつの同じ治療法や施術法で大丈夫だと皆さんは思えますか?そんなバカな話しはないと思います。状況や状態によって治療法や施術法は変わっていくべきなんです。というかそれが当たり前なんです。でも当院に来られる方にお話しを伺っていると、誰もが同じ治療法や施術法で経過観察をしいられてしまい、結果的に回復が遅くなっているということがかなり見られます。中にはぎっくり腰をやって2週間経過しているのにもかかわらず、ぎっくり腰が起きた当日と痛みが変わらずに当院にご相談に来られた方もいらっしゃいました。この方は女性でしたが接骨院に2週間毎日通って下さいと言われて真面目に通った方です。ぎっくり腰で2週間通ってそんな状況なら、通わずに自宅で自分でケアしていた方がとっくに改善していたのではないかと少々疑問に感じました。バカのひとつ覚えとは言いませんが、どんな状況でもどんな状態でも、腰痛というひとつの症状に対して毎回同じようなやり方だけを行うところは病院だろうが治療院だろうが私はお勧めしません。
医師・治療家・施術家の固定観念が邪魔
この症状はこうだからとか、この場合はこうすれば大丈夫というように、様々な分野の先生が自分の得意分野の考え方に合わせて考える固定観念のような「思い込み」には注意が必要です。我々の分野でも実際にいるのですが、どんな症状や痛みでも「骨盤に問題がある」とか「仙腸関節に問題がある」と、わけのわからない理屈で患者さんを丸め込もうとする方がいます。確かにそのような問題の場合もあることも事実ですが、それ以上にそうではない場合もかなり見受けられます。中には骨盤の問題で腰痛やお尻の不調が起こっていると言われ、数ヶ月通ったが改善されなかったとしてご相談に来られた方の中に「前立腺がん」の方もおりました。私の方で痛みの出方や出る状況がどうもおかしいということですぐに医療機関の中で泌尿器科への受診を勧めて確認されました。その方は発見がまだ早期だった為に命に別状はありませんでしたが、そのまま治療院なのか施術所なのかわかりませんが通院し続けていたらきっと、大事になっていたのではないかと考えられます。固定観念や自分の得な分野にプライドを持つことは悪いとは言いませんが、それが邪魔をしてしまい、時には本来見落としてはいけない部分を見落とす原因につながることがあります。この症例の他にも多数ありますが、それについては別な記事でおいおいお話しをして行こうと思います。
瞬時に複数の原因の可能性が思い浮かぶことが重要
患者さんの症状を聞いて瞬時にその症状に対する原因となるであろう複数の可能性を思い受かべられないようでは治療や施術に携わることは危険なことだということをどれだけの先生が理解なさっているでしょうか。当院にご相談に来られた方の中で数名の方ではありますが、「なぜもっと早くに通院していたところの先生はこれに気が付かなかったのだろう?」と疑問に感じたことがあります。その数名の方はすでに他界されています。ひどい時などは、当院に来られる2日前にも別なところへ行ってきたという方もおり、なぜこんなにもハッキリと症状が複数現れているのにそこの施術家は気がつかないんだろうと、なんとも言えない気分のまま医療機関への受診を勧めて、ご家族には「私の思い過ごしであればそれが一番良いのですが・・・」と正直にお伝え致しました。結果は、私の思い過ごしにはならず、とても悔しいというかいたたまれない気持ちになったことがあります。もちろんご家族は私よりももっともっとそんな気持ちだったのではないかと思います。そういう施術家の先生は今現在も営業を行っているようですが、もちろん私も含めて日々勉強が必要だろうと今も尚感じています。
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