鼠蹊部(太もも前側の付け根)の痛み。痛みが出ている部位に異常があるわけではない!

最終更新: 9月18日

 こんにちは、山の上の院長こと佐々木です。先日、鼠蹊部と呼ばれる太もも前側の付け根というか下腹部の脇というか、皆さんが俗に言う股関節と言われる部分に痛みが出たという女性の患者様が来院されました。


 実は同じ症状で意外と多くの方が来院されますが、その多くの場合、鼠蹊部や骨盤部前側の治療や施術を繰り返しても良くならないとか、足を開脚するストレッチをするようにアドバイスを受けて実行しているにも関わらず症状が改善しないとお話し下さる方がほとんどです。


 当院に来られた患者様で一番長かったのが当時50歳代女性で、実に「30年くらい前から症状が変わらない。」ということでした。しかも、数日おきに病院(整形)へ通ったり、鍼治療や整体などにも通い続けたということでした。その方は1度目の施術で症状が改善し、確認の為1週間後にもう一度来院を頂きましたが、痛みは出ていないということで「自分の体ってこんなにも楽なものだったんだと実感しました。ありがとうございます。」とおっしゃっておりました。


 なぜ長く改善しなかった症状が良くなったのか、原因は全く見当違いな部位にあります。今回はそんなお話しです。




なぜ鼠蹊部に痛みや違和感が現れるのか!?


 まず考えなければならないことは、なぜ鼠蹊部に痛みが現れてしまうのかということです。例えば生まれつきの骨格異常などによって、股関節(臀部)の骨の入り方が浅いという方がおります。この場合も骨盤部の脇に違和感や痛みが現れることがありますが、その場合は本来の鼠蹊部というよりもやや外側に現れます。  鼠蹊部の痛みは場合によっては盲腸や下腹部にある内臓の痛みや不調などと勘違いしてしまう部位に出てしまいますが、実際には腰の筋肉で、腰を取り巻いている筋肉群の中のややお腹側に位置している筋肉の動きが悪くなり、その為に鼠蹊部痛や鼠蹊部の違和感として現れてしまいます。

 背骨を左右からおさえている最内の筋肉である骨格筋の中の大腰筋(だいようきん)、腸腰筋(ちょうようきん)の動きが悪くなることで、それらの筋肉の付着部位である下腹部周辺を引っ張ってしまい、鼠蹊部に痛みや違和感が現れてしまいます。この場合、腰痛が同時に起こる場合もあり、前後から挟まれるように痛みや違和感が出てしまうこともあります。また、大腿部前側(太もも前側)の大腿四頭筋にも筋肉の固さが見られる場合が多く、後方に上半身を倒す後屈動作がしにくくなる場合もあります。

 ではなぜこのように、左右の脇に位置する筋肉の動作が悪くなってしまうのかというと、実際に患者様のお話しをまとめてみると、ある共通点が見られます。例えば、工場作業員として働いており、右側から左側へ部品の入った箱を移動させる業務に従事している、スコップを使う仕事が多い、ゴルフを頻繁にやっている、草刈機械で草刈りを数日続けてから痛みが出た、片膝をついての業務がほとんど、常に座って一日中仕事をしているなど、このような場合が多くなります。  これは、お腹側の筋肉を常に縮めている姿勢である前かがみでいることが多いもしくは左右どちらかに偏った動きになっている傾向が強い、または両方の姿勢ということです。

 簡単に説明すると、前かがみの姿勢や左右どちらかに偏った姿勢や動作の場合に症状が現れることが多くなるということです。お腹側の筋肉が縮んだまま筋膜と癒着して伸びれなくなっているという状況を考えてみて下さい。立ち上がったり背伸びをしようとしても、お腹側や太ももの前側が伸びれないでどこかを引っ張ってしまうということは誰でもお分かり頂けるのではないかと思います。





鼠蹊部以外に明確な症状が無い為にわかりにくい


 鼠蹊部痛は、鼠蹊部以外に明確な激痛が現れないことも多く、しびれなども伴わない為に、患者様のお話しを確認した治療や施術をする側の先生も、痛みや違和感のある鼠蹊部や骨盤付近の治療や施術を繰り返してしまう場合が多く、その為いくら通院しても明確な改善がなされずに、時間だけが経過してゆく場合がほとんどで、結果として数ヶ月から数十年もの間、痛みや違和感に悩まされてしまいます。また、原因が分かっていたとしても大腰筋や腸腰筋は大腸のすぐ近くにある為、アプローチが難しい為に、ある程度の治療や施術をして経過を見ることが多く、なかなか改善への糸口が見つからないという場合も多くなります。

 決して改善しない症状ではありませんが、どうしても治療や施術を行う側の見立てと、治療技術や施術技術によっても左右されてしまいますので、今回の記事を読まれている読者様の中で、このような症状に悩まされている方は、まずは本当に信頼のおける先生を見つけることからはじめて下さい。技術的、理論的にきちんとした先生であれば、症状を聞いてすぐに原因部位がわかり、一瞬触診をするだけでどちらか片方に痛みがあるのか、両方に痛みが出ているのかがすぐにわかるはずです。  ぜひ諦めることなく根気よく探してみて下さい。当院で実際に施術をしている患者様を見ていると、ほとんどの場合2回程度で明らかな痛みの軽減や消失がありますので、数回通院しても症状が変わらない、または1回の通院で症状がひどくなったという場合には、通う院を変えてみるのも目安になるかと思います。



ストレッチや体操も大切!姿勢の変化も!


 鼠蹊部の痛みや違和感に対して、大腿四頭筋(太もも前側)のストレッチというか体操も大切になります。いきなり正座の姿勢から後ろに寝そべるとやってしまうと、逆に痛みを増してしまうこともありますので、うつ伏せの状態で膝のあたりに5cm程度の固めのクッションか何かを敷いて頂き、少し体が後方に反った姿勢で膝を交互に曲げ伸ばしをする体操を行ってみて下さい。その時、下腹部や鼠蹊部が伸びていることが実感できると思いますので、少しずつで構いませんので毎日続けるようにしましょう。タイミングとしてはお風呂上りが良いと思います。

 日々の姿勢も大切になります。何十分も何時間も姿勢を変える必要はないというか、お仕事をなさっているとどうしても体勢をこまめに変えることが難しい場合もあると思いますので、1分程度で構いませんので腰に手を当てた状態で足を肩幅よりやや広めに開き、つま先を外側に向けて後屈(後方へ上半身を反らす)する体操を行うように心がけるようにして下さい。その際、極端に後方へ反らす必要はなく、足の付け根や鼠蹊部が伸びて張っているという感覚のところまでで構いません。また、相撲で行う動作である「腰割り」のような体操も良いと思いますが、腰割りを行う場合には10回から15回程度を1セットとして、2セットから3セット程度として、やりすぎには注意しましょう。  あとの足りない分は最初にも触れましたがご入浴後のストレッチなどで補うようにしましょう。出来るだけ30分に1度程度の割り合いで行って頂けると良いのですが、先ほどもお話しした通り、お仕事をされているとなかなかそうも出来ない状況もあると思いますので、出来る限りで結構ですので、長時間前かがみや片方に偏った動きをする姿勢や動作に変化を与えるようにしてみましょう。



インナーマッスルの特徴


 インナーマッスルは体の中心軸にもっとも近い骨格筋を意味します。体を動作させる場合、アウターマッスルと呼ばれる外側の筋肉よりもインナーマッスルは動作範囲というか伸展率が少なく、ストレッチや体操で伸ばしているつもりでも十分に伸ばせていないことが大部分です。


 例えば車を走らせる場合で考えてみて下さい。車がカーブを曲がるとき、カーブの内側の車輪は外側の車輪よりも回転数が少なくなります。これと同様で、人間の体の筋肉も中心軸に近くなればなるほど、伸展率や動作の可動域が少なくなり、ストレッチや体操で伸ばしにくい部位となってしまいます。その為に体勢を決めて、その上でストレッチや体操を行うことが必須となり、その為のつま先の向きであったり相撲の腰割りのような体勢で行うということなのです。


 ただし、体勢を保持した状態でストレッチや体操を行うということは、体勢を保持するだけで体には負荷がかかっている状態となっているので、結果を急いで回数を多めに行うことは避けるようにしましょう。

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