私が勝手に命名!「電子デバイスシンドローム」について考察!

 こんにちは、山の上の院長です。現在の世の中は様々な技術の発展に伴って、昔と比べて随分と便利な世の中になりました。しかしその反面、昔ではあまり考えられなかった体の症状が見られるようにもなってしまいました。現代症状とも言うべき症状は、そのほとんどが姿勢の悪化によって引き起こされた「筋・筋膜の癒着による関節の可動域低下」ということが多く、そのような状態になるとこりの他にも思わぬ症状が起こってしまう可能性がとても高くなります。これはパソコン、スマートフォン、タブレットの普及と、職場への端末普及率が増えた為に起こる症状と言っても言い過ぎではないような状況となっています。


 このように、現代社会における同じ姿勢を長時間保持したことによって起こり得る症状全般を、私は「電子デバイスシンドローム」と呼んでいます。




電子デバイスシンドローム(EDS)


 ここ数年、一般家庭と学校、職場への電子機器の普及率が飛躍的に高まり、現在ではスマートフォンに関しては個人の普及率も9割を超えていると言われております。そのおかげでお店に出向くことなく買い物を楽しめるようになったり、様々な情報を手元でいつでも調べることが出来たりと、とても便利な世の中になりました。しかし、それに伴って以前ではそれほど考えられなかった現代症状とも言える様々な体の不調が現れるようになってきました。仕事でもプライベートでも、一度電子デバイスを使用し始めると、そのままの姿勢を長時間保持していることが多く、人間の体は長時間同じ姿勢を保っていると、筋膜の水分やコラーゲンが失われてしまい、本来は筋肉に対してすべるように滑らかに動いている筋膜が、筋肉組織へ癒着してしまいます。  こうなってくると、筋肉の伸展率(伸び率)が失われてしまい、筋肉は骨同士をつないでいる為、各関節の可動域が極端に狭くなってしまいます。運動やストレッチをしていなければ、可動が狭くなっている関節に気が付くことはまずありませんので、とっさの動きや体を急に動かした際に、他の骨や部位を引っ張ってしまうことで痛みが現れ始めます。

 体がこの状況になっている場合、一度痛みを感じ始めてしまうとなかなか目に見えた改善がなされず、長い期間、原因がよくわからない症状や痛みなどに悩まされる傾向が強くなります。また、このような筋・筋膜の状況で起こる症状は可動域の低下だけでなく、体内の血流の循環も悪化してしまいますし、同じ姿勢でいるとなると、自律神経を刺激することで不定愁訴と呼ばれる原因不明の症状なども起こってくることがあります。その他にも緊張性の頭痛や腰痛、首や肩の不具合(こりやストレートネック)など、ここに挙げた意外にも数多くの症状に悩まされる可能性がとても高くなると言えます。



筋肉の伸展率を超えた関節の可動が起こす外傷の可能性


 筋肉と筋膜の癒着で、筋肉が本来持っている伸展率が低下している状態で、例えばスポーツをしている場合、その低下している伸展率を急激に超えた場合(ゆっくりと伸ばせばストレッチです)、伸びれない筋肉は裂傷を起こし、筋膜と分離するかどこかを引っ張るかしか選択肢が無くなります。  筋肉と筋膜の裂傷が起こると、皮膚表面を見た場合に、裂傷部位がくぼんでいるのが肉眼で簡単に見えるほどの状況となってしまうこともあり、俗称「肉離れ」という症状になってしまいます。こうなると、皮膚のくぼみだけでなく黙っていても激痛を伴うことが多く、動こうとすると余計に痛みが増します。

 裂傷とならずに、どこかを引っ張ってしまう場合には、関節の内部(骨と骨の間)で他の軟部組織を瞬間的に挟んだりしてしまうこともあり、その軟部組織が炎症を起こしたり損傷してしまうことで関節部に痛みを出してしまうこともあります。実はこの筋・筋膜の癒着や伸展率の低下はお子様の成長痛とも大きな関連性があり、大腿四頭筋(太ももの前側の筋肉)が成長に伴って伸ばされて行き、伸展率が失われているのにも関わらず、それ以上に関節を可動させようとしてしまうことで、膝の膝蓋骨(皿)を引っ張り上げてしまえば膝の成長痛やオスグッド、ふくらはぎの伸展率が低下している場合にはかかとの骨の端を引っ張ってしまうシーパー病(踵骨骨端症)となってしまいます。

 例えば腰が曲がっている状態で歩行している高齢者の方の場合、どうしても前傾姿勢で歩行する為に、膝を曲げたり動かして歩行することが困難になってしまいます。これは前傾姿勢による重心バランスによるものですので、膝を動かして歩くが人間の体の構造上無理なことであり、地面を足裏でこするように歩くすり足のような歩行方法となってしまいます。このような状況となっている場合、何も障害物のないところでもつまづくようになったり、常に大腿四頭筋が収縮している状態で歩行している為に、筋・筋膜が癒着しており、膝を曲げようとすると大腿四頭筋が伸びれずに突っ張ってしまうことが多くなります。この電子デバイスシンドロームは、若年層にも同様の症状が起こりうる可能性を秘めています。



小学生低学年が肩こりで来院する時代


 私が最近の傾向の中で一番驚いているのが、小学生の低学年のお子様が「肩こりや頭痛」で来院するケースが年々増加しており、理由としては筋力低下や電子機器(ゲームやスマートフォンなど)の使用に伴う猫背と頸椎(首)の前傾姿勢による原因が圧倒的に多く、その姿勢のままで筋・筋膜が癒着を起こしていることが考えられます。  これを改善してゆく場合に、一番重要となることはお子様への意識付けになってくると思いますが、近年、厚労省が電子機器の依存による症状を病気に指定した背景からもわかるように、スマホ依存症やゲーム依存はある種の癖であり、意識していなくても気が付けばそれを行ってしまっているという状況となっていることが多い為に、いくら肩こりやストレートネックを改善しても、数日から数週間で元通りになってしまうことが多いと言えます。

 最近では各学校でも、「メディア機器との上手な付き合い方」と題した専門家による講演会なども取り入れるようになってきており、これはとても大切なことだと感じております。このような症状は依存症である以上、ある意味、難病という重大な症状と同様の症状というように親御さんも受け止めるべき問題として意識するようにして下さい。

 良く「先生、この子のことをきつく怒ってやって下さい。ゲームや動画ばかりでさっぱり言うことを聞かなくて。」とご相談を受けることが多々あります。お気持ちはわかりますが、それは本来ご自宅で行う問題であり、きちんと使用時間を決めて使用させることと、約束を破った場合の罰則を決めて、どんなに泣きつかれても絶対に罰則は実行するようにと現在では各学校でも指導されていることが多いはずです。  もちろん来院された場合には私の方でもきつく本人にもお話しをさせて頂きます。現代社会特有の症状ではありますが、理由がはっきりしているので、意識をさせることで改善することも十分に可能です。



体内の各細胞年齢が将来的に疑似高齢化の可能性


 最近よく聞くようになった症状の中に「若年性●●」という言葉が増えてきました。人間の体の細胞や各器官は、働きが弱くなるとどんどん弱体化してゆく傾向となります。一度弱体化したり退化してくると、その機能を取り戻すということがとても難しく、実年齢と細胞の実際の年齢にかなりの差が現れてしまうことにもなりかねません。「仕事だから仕方がない。」という意見もよく聞きますが、合間のストレッチは15秒で行える方法もたくさんあります。


 仕事中に15秒の時間もとれないという方はほぼいらっしゃらないと思います。あとはこのような状況が与える体への影響力を本気で考えるかどうかだけだと思います。本気で考える人間は、その為の時間を作る為に効率的に動けるはずですので、その辺を今一度考えてみる良い機会ではないでしょうか。