痛みに対して筋肉を鍛えるというアドバイス。それって本当なの!?いえ、実は・・・。

最終更新: 9月18日

 こんにちは、山の上の院長です。当院に来られる患者様から良く聞かれるご質問の中で意外と多いのが、痛みに対して相談をしに行った病院や治療院、施術院などで「筋肉を鍛えるようにして下さい。」と言われたというお話しがあります。


 実は本日ご来院頂きました患者様からも同様のご質問を頂きました。筋肉を鍛えること自体は悪いことだとは言いませんが、そのようなアドバイスを頂いた方皆様に伺いたいのですが、実際にアドバイス通りに筋肉を鍛えようと努力されてみて、本当に痛みは治りましたか?これはあくまでも私の体感的なお話しになりますが、そのようなアドバイスを受けられた方がなぜ当院にご相談に来られるのかと考えると、治っていない方が実際には多いのではないかと思います。


 これはとある医師が話していたことですが、「筋肉量の多い少ないが痛みに関係するのであれば、現役のアスリートの方はどこも痛くないと思います。でも実際にはそうではないということです。」と。皆さんはどう思いますか?そこで今回はこの、筋肉を鍛えるというアドバイスが本当に適切なことなのかを考えてみたいと思います。




筋肉の働き


 人間に備わっている筋肉は、骨と骨とをつないでいる組織です。この骨同士をつないでいる筋肉が、脳の収縮命令を神経を介して伝わり、筋肉が収縮することで骨同士を引っ張り合うことで骨を動かします。向かい合っている骨と骨との間を関節と言い、筋肉が収縮することでこの関節を可動させています。例えばこの筋肉が、固くなり動きが悪くなってしまうと、伸びることのできない筋肉組織は、他の骨や関節に干渉してしまい、本来は引っ張ることのない部位まで引っ張るようになってしまいます。このような状態になってしまうと、骨はどちらかへ引っ張られてしまうことでゆがみを作り、本来の場所ではないところに数ミリ骨が移動してしまうと痛みや不具合の要因となってしまいます。

 脳の収縮命令に対して動きの悪くなった筋肉は、小刻みに筋痙攣を起こすようになると言われておりますが、この筋痙攣も痛みやしびれの要因となると言われています。簡単に表現すると脳から「動いて下さいね。」という命令がある筋肉に対して出されたとします。その命令を受けた筋肉が「いやいや、動けませんけど。」というフィードバック命令を脳に出してしまうと、脳は異常を感じて痛みの信号を出して「あそこの筋肉がどうもおかしいから修復して下さい。」と様々な体の機能に命令を出して修復作業にはいるようにします。これが大まかな(かなり大雑把ですが)動きになります。

 施術や治療に関しても同様ですが、筋肉に対して小刻みな動作は筋痙攣や拘縮を招いてしまうことがありますが、ストレッチなどの大きく、ゆっくりとした動作は筋肉を緩めやすくなると言えます。パソコンのマウスのクリック操作が良い例で、指のクリック動作は実は肩甲骨内縁の筋肉まで細かく振動させています。その為、パソコン操作に一日のほとんどを費やしている方は、マウス操作をしている側の肩甲骨付近の筋肉のこりが発生することも多く、首に多いストレートネックと同様に肩こりや頭痛の原因となっていることが良く見られます。





筋肉を鍛えることで考えられる不具合


 最初でもお話しをしましたが、筋肉を鍛えること自体は決して悪いことではありません。では筋肉を鍛えようとすることで、筋肉はどのような状態になるのかということを考えてみたいと思います。筋肉を鍛えるということは、特定の筋肉に対して負荷をかけることを繰り返し行い、筋肉繊維のひとつひとつを太くして行くことになります。太くなった筋肉は、そのままでは柔軟性が損なわれてしまいますので、収縮運動を繰り返し行った筋肉組織に対して、伸展動作であるストレッチを行わなければなりません。

 ストレッチをしないでトレーニングだけを繰り返した筋肉は柔軟性が損なわれてしまい、安定感は増しますが可動性が低下してしまいます。これは筋肉だけに限った話しではないのですが、例えば釣りが好きな方は良く分かると思いますが、釣り竿のメイン素材であるカーボンだとわかりやすいと思います。カーボンとは炭素繊維で、釣り竿を作る際に圧力をかけながらパイプ状にしてゆきます。この圧力の数字が増せば増すほどはりのある釣り竿となり、圧力が少なくなればなるほど良くしなる柔軟性のある釣り竿になります。はりの強い釣り竿は、大きな魚がかかった時に、水底からでも強引に引き抜けるほどの力がありますが、その分もろくなってしまい、折れる時は一瞬で折れてしまいます。逆に柔軟性のある釣り竿は、強引に引き抜ける力はないものの、しなやかで釣り竿が魚の動きを吸収しながら魚をいなすことができます。これと同様で、人間の筋肉も固くなりすぎた筋肉は、確かに強く安定感が増しますが、柔軟性が無い為に肉離れや他の骨を引っ張ってしまい、関節の中の組織や周辺組織を傷つけてしまう可能性があり、衝撃の吸収性も無い為に、歩く、走る、着地するなどの衝撃による膝関節や腰の痛みを一気に出してしまうことがあります。逆に柔軟性がある筋肉は、瞬発性や安定感が無く、力を込めにくい筋肉ではありますが、多少の無理な動作も可能になります。


 筋肉は柔軟性があればあるほど良いと話される方もおりますが、これは半分正解で、半分は間違いだと言えます。というのは、体を支える為の部位に備わっている筋肉ははりがあり、様々な方向へ動かせる部位の筋肉は柔軟性が備わっているということが理想となります。ただし、安定感の備わっている筋肉のはりと、不具合などが発生して拘縮を起こしてしまっている筋肉の固さは異なりますので、その辺を間違わないようにして下さい。



痛みに対する筋肉の考え方


 では少し前置きが長くなりすぎましたが、痛みに対する筋肉の考え方について私の見解をお話ししてみたいと思います。特に高齢者の方が病院や治療院、施術院で言われてくるケースが多いのですが、痛みに対して筋肉を鍛えるようにというアドバイスを受けてきます。ではそのアドバイスを受けられてきた患者様が、日々の生活の中で歩行することが出来ないで困っているのかというと決してそうではなく、痛みがあるから歩くのが大変ということだと思います。痛みがあるにしても、日常的な生活を送れているわけですので、その為の筋肉は十分に備わっていると言えます。

 そのような状況であれば、筋肉を鍛えるということではなく、今ある筋肉の量で構いませんので、トレーニングではなく体操やストレッチなどを日常的に行い、普段から柔軟性のある筋肉の状況にしておく、いつでもきちんと動ける状態の筋肉にしておくということの方がはるかに大切なことだと思います。



単軸関節と多軸関節


 人間の関節には単軸関節と多軸関節があります。単軸関節とは膝関節や肘関節などのように、一方向に曲げることが出来る動作軸がひとつの関節で、腰や股関節のように、様々な方向へ動かせる複数動作軸のある関節を多軸関節と言います。一般的に単軸関節は安定性が、多軸関節は可動性がある方が理想と言われておりますが、安定性と可動性のどちらか一方が備わっていれば良いということではなく、安定性と可動性の比率が重要となります。


 これはスポーツの指導を行っている指導者の方にも重要なことで、ケガを予防した上で筋肉の持っている力を十分に発揮させてあげるようにして行く為にも必要不可欠なことだと言えると思います。近年、スポーツの世界では「体幹」という言葉がはやりのように使われていますが、体幹を鍛えてストレッチを行えていなければ、逆に体の動きを極端に妨げてしまいますので、各スポーツの動作の指導と共に、体がきちんと機能する状態作りまで責任を持って教えることが本来の指導だと言えます。

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佐々木長生整体院

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