右手の甲側にしびれがあり、2015年から症状が出ていますが、治らないのでしょうか?

最終更新: 9月18日

 こんにちは、山の上の院長こと佐々木です。本日初めて来院された患者様の症状に関して考えてみたいと思いましたので、急遽ブログに掲載させて頂きました。実はこの患者様、2015年に整形外科を受診し、その後首の牽引と肩から指にかけての電気治療を行ってこられた方で、思うように症状が改善されないというご相談で当院にお越し下さいました。整形外科での診断内容は「頚椎性症神経症」ということでした。なかなか耳にする言葉ではないような症状の名前だと思いますが、簡単に説明すると、主には頸椎部の椎骨(背骨)に変性が見られ、それが椎骨後方を走行する脊椎神経を刺激することで起こる症状ということです。これが脊髄症となると、椎骨の中で骨が変形し、椎骨の中の脊髄を刺激する症状となります。その診断を今から4年前に受けて、現在も右手のしびれに悩まされていらっしゃるようで、症状の軽減や改善が行えないでいるということでした。さて、どのような改善策があるのか、どんなことを提案するべきなのかを考えてみましょう。




まずは症状の出方の確認をする


 しびれを伴う症状の場合、とても大切になってくるのは以前の診断結果が本当に正しいものだったかどうかを再度確認するということです。しびれの場合、過去には痛みの方が比率的には高かったが、時間の経過とともにしびれに変わってきたというパターンや、元々しびれが強く出ており、しびれの範囲が時間の経過とともに変化しているのかどうかなど、様々な確認を行わなければなりません。場合によっては、最初に受けた診断自体を覆してしまうお話しをしなければならない場合もあります。

 実は以前、手首から指先にかけてしびれが出ており、指の腹の部分にサラサラした感じがあるという患者様から最近ご相談を受けました。その方は検査をした際に首からの症状だと言われ、首の手術を行ったということでしたが、指の腹のサラサラした感じは残ったままだというお話しをされておりました。手術をした医師からは「指先のサラサラした感じは多少は残るから。」と言われたというお話しでしたが、術前と術後で大きな変化はないということでした。  肩や腕などの症状を確認してみると、特に何ともなく、指の腹にだけサラサラした感じがあるというお話しでしたが、「一番強くサラサラした感じがあるのは親指ですか?親指から人差し指、中指と進むにつれて、サラサラした感じが弱まっていませんか?」と聞くと「その通りです。」というお答えでした。手術をされる前にもそのような症状でしたか?という私からの問いに、以前から症状は変わっていないというお話しでした。このような症状の場合、医師や治療家、施術家の先生であれば何を疑いますか?首からの症状ですか?

 薬指の半分側(小指側)と小指には明確な症状が出ておらず、肩や腕に症状が見られないことと、首を後屈させても指のサラサラした感じに変化がないということを踏まえて考えると、おそらくは手根管症候群(手首の手根管内での神経圧迫)によるものではないかと考えられます。  この患者様の前腕、手首、手の平を施術すると、明らかに症状が改善しているということでしたので、本来であれば首を手術することではなかったはずです。

お尻や脚は腰から、腕や手は首からという固定観念が招いたミスだったのではないかと思います。だからこそ慎重に症状の出方を観察する必要と、患者様からより詳しいお話しを伺う必要があるのです。





症状は複合して起こっている場合もある


 例えば腰と膝が痛い患者様がよく病院でお話しされてくるのは、「腰が痛い人は膝にも痛みが出るんです。」とか「腰から来ていると思いますよ。」という言葉。もちろん腰に原因があって膝に痛みというか違和感が出る場合もありますが、直接的な関りがない場合も多く見られます。「腰が痛い→痛みのある方をかばう→重心が片方に偏って歩くようになる→膝に痛みが出る」というように、全てが神経系統からくる症状ではなく、主には筋系から起こる症状が圧倒的に多い傾向にあります。

 神経に起因していると考えられる症状は、脊椎の神経の出ている部位から下方に向かって症状が出ます。これに対して筋系症状は、上下どちらへも出てくることがあります。簡単に例えてみると、臀部(お尻)にしびれが出ている状況で、背中にもはりやコリがあると感じる場合、腰から出ている神経の作用等によって臀部に症状が現れているということと、それをかばう為に姿勢がおかしくなったりすることで、その無理な姿勢を支えようとして背中にはりやコリが現れることがあります。また、どこかの部位に痛みがあり、その痛みに対して痛み止めを常時服用することで胃に負担がかかり、その胃の症状が背中に不調を出したりということもあります。

 痛みの種類はひとつではありませんので、このように様々な症状が複合して起こっている場合、ひとつの対処方法では良くなるということは少なくなります。このような関連性のない症状に対して、それらを「腰からのもの」や「首からのもの」という安易な判断をしてしまう先生も少なくありません。この場合、最初の診断に誤りがあると考える方が妥当で、その診断内容通りに治療や施術を行っていったとしても、結局時間が経過しても症状が改善せず、その長期に渡る痛みや不調を感じ続けてきた記憶は脳に刻まれてしまうことになり、その痛みや不調の出方、出る部位などが記憶から消えにくくなってしまいます。これが慢性痛という症状です。



今回の患者様の実際の症状について


 今回ご相談に来られた患者様の具体的な症状は、右側の肩がここ最近こっているような張っているような感じがするということと、右側の手の甲側、特に人差し指、中指、薬指の一部にしびれが出ているということでした。また数年前に、朝起きたらば右手が麻痺していて箸が持てなくて病院で検査を受けたというお話しがありました。数週間後にこの症状は回復したということでした。  今回の症状に関して病院では頚椎症性神経症との診断だったということでしたが、その診断を受けて病院で治療を行う為に通院をしたが症状は一向に改善されず、今日までで4年が経過しましたというお話しでした。

 私から患者様にひとつだけご質問をさせて頂きましたが、右側の手や腕を体の下に敷いて寝るような癖がないのかと伺ってみると、確かに右側の腕を下に敷いたり、少し横になろうとした時にも右腕を枕代わりにして寝る癖があるということでした。おそらくは過去に出た箸が持てなくなるほどの症状は腕神経麻痺(腕を長時間圧迫したことによる神経麻痺)ではなかったのかという点がひとつ、それと、肘の関節にある肘部管(ちゅうぶかん)症候群に見られる母指球の状況が全く見られないことから、おそらくは腕を圧迫してしまう寝方による正中神経の症状ではないかと考えられます。

 肩や上腕には一切症状が出ておらず、肘から下にだけ症状が集中していること、顔を上に向けて頸椎部を後屈させても症状の増悪がないことを考えると、当初の診断内容のような頚椎症性神経症ではなく、長時間腕神経叢を圧迫し続けたことによる神経鈍麻だと考える方が妥当だと思います。

 施術後に患者様に実際に腕を動かして確認して頂きましたが、おおむね良好であるということと、サラサラした感覚が極端に弱まったという認識をされておりましたので、おそらくはそのような症状だったのではないかと考えられます。長時間神経を圧迫し続けると起こる神経麻痺症状は、時間の経過とともに改善することが多い症状ではありますが、長い方では数ヶ月間続いてしまうこともあります。特に硬めの布団やマッサージチェアなどでウトウトしていつの間にか寝てしまい、イスの脇と体に腕を圧迫して引き起こされるというような場合もありますので注意が必要です。その際には、枕を変えたり、背中側に柔らかめのクッションなどを置いて、寝る際の姿勢を少し変えてみることが必要です。



固定観念を捨てて色々な方向から可能性を模索する


 経験を積めば積むほど、その症状や不調に対して安易に考えてしまうものです。しかしその固定観念が思わぬ結果を招いたりしてしまうことも少なくなく、当院に来られた患者様の中には検査もせず、首に注射をされたとか、関係のない部位の手術をされた方も実際に多数おられます。これでは注射にしろ手術にしろ「やられ損」にしかなりません。ひとつの症状や不調に対して、色々な方向から、色々な可能性を探ってみることが大切です。その可能性に対する仮説が出来たのであれば、それを裏付ける為に触診や体を動かしてみて確認をすることがとても大切になってきます。どんなに治療や施術を繰り返しても長い期間治らない、改善への糸口すら見えないというような症状や不調は、もう一度最初の段階での診断に間違いがなかったのかどうかを再確認してみることで、今までとは違った明日を迎えられるかもしれません。

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